超臨界圧窒素の熱伝達特性に関する研究

通商産業省 工業技術院 機械技術研究所

○ 中納 暁洋、白石 正夫、竹村 文男、西尾 匡弘

1. はじめに
 超臨界圧流体では臨界点近傍において比熱など熱物性値の変化が大きく特異な熱伝達挙動を示すことが知られている。本研究では高温超電導時代をにらみ超臨界圧窒素の熱伝達特性を調べ新しい熱伝素子応用への可能性を探った。

2. 計算モデル
 数値解析にあたり、熱エネルギー伝搬の基礎方程式を熱流体力学の立場から導出した(1)。ここでは1次元モデルについての考察を行い計算はMacCormackの二段階法を用いた。基礎方程式と計算モデルを以下に示す。


ρ:密度,v:速度, T:温度, P:圧力, γ:比熱比,
αT:等温圧縮率,β:体膨張係数,λ:熱伝導率,η:第一種粘性係数,ζ:第二種粘性係数

3. 計算結果
 窒素の臨界点(T=126.2143K, P=3.398MPa)から1K離れた超臨界圧領域においてx=0の温度を5mK上昇させた時の温度空間分布を図1に示す。又、比較のため液体窒素(T=75K, P=0.1MPa )における計算結果を図2に示す。超臨界圧領域においては両端の壁面付近を除きほとんどの領域で温度が一定になることが分かる。一方、液体窒素では熱伝導の効果により徐々に熱が伝搬していく様子が示されている。これより超臨界圧領域では熱伝導の効果が非常に小さく、温度が波動として伝搬してゆくことが判明した。

                
(参考文献)(1)前川 透 JSUP平成7年度フロンティア共同研究研究成果報告p.225