2025年秋季低温工学・超電導学会研究発表会 セッション報告

12月09日(火)
A会場

HTS コイル保護 1A-a01-06 座長 東川 甲平

1A-a01:戸坂(東芝ESS)らは、HTSコイルの保護コンセプトの確立の製作された20テスラコイルの概要について発表した。無絶縁コイルのSelf-protectionには期待せずに、フラックスフロー電圧を検知して消磁するものである。企業主導の取り組みとして大変価値の高いものと認められる。質疑応答の時間では、作製されたコイルと実応用のターゲットの関係を議論する熱いディスカッションもあった。
1A-a02:宇都(東芝ESS)らは、上記20テスラコイルの設計と限界評価について報告した。574 Aの通電で20.5 Tの発生と保持に成功していた。また、限界評価としてさらに励磁して21.2 Tの時に電圧が急上昇して電流が遮断した。本コイルは複数のパンケーキコイルによって構成されており、一部に異なる含浸構造を採用しており、線材テープ面間が固着しているパンケーキコイルでダメージがあり、負荷率由来ではなく機械的に限界を迎えたと考察されていた。
1A-a03:渡辺(東芝ESS)らは、上記20テスラコイルの励磁電圧挙動と熱暴走検知について報告した。線材中の遮蔽電流由来の電圧の影響についても考慮し、フラックスフロー電圧を検出することに成功していた。会場からは、磁界と電流の関係をモニタしておけば径方向電流が評価できて保護に使えるのではないかというコメントがあった。
1A-a04:榊原(北大)らは、REBCOコイルに対するCNNによる電圧予測器の評価について報告した。熱暴走のモデルを機械学習に組み込むことで、事前に熱暴走を予測できる可能性のあることがわかった。
1A-a05:潘(北大)らは、REBCOコイルに対する巻線張力が機械特性に与える影響をシミュレーションによって評価していた。機械特性に関してはそこまで設計に気にしなくてもよさそうな結論が得られていた。
1A-a07:谷貝(上智大)らは、HTS積層導体の局所クエンチからの電流再分配について、高速な解析手法を開発していた。修正スパースタブロー法を適用することにより行列のサイズを低減できることを説明し、積層導体の電流分布の過渡解析が行えることを提示し、層間抵抗の異なる場合の現象の相違について議論していた。


SCSCケーブル (1) 1A-p01-05 座長 谷貝 剛

 電力ケーブルから核融合,加速器といった幅広い応用分野で注目されるHTSケーブルの分野で,線材のポテンシャルを最大限に活かしながら低交流損失,良好な巻き線性,大電流容量を実現するSpiral Copper-plated Striated Coadted-conductor (SCSC) ケーブルに関するプロジェクトの一連の進捗に関するセッションであった。
1A-p01:雨宮より,プロジェクト全体の概要の紹介があった2mm幅で10本のフィラメントを持つ線材を年間2kmで製作しており,巻き付けるケーブルは様々なコア材で行っているとのこと。特に歩留まりが悪い事もなく,製作性が良好であるのは将来の低コスト化に極めて有効と思われる。続いて1A-p02:上垣より,3本のマルチフィラメント線で製作した導体を内径60mm,6層33ターンに巻いたコイルの交流損失解析の報告があった。ヒステリシス損失が支配的で,低電流域では理論曲線で説明がつくとの事。特に印象に残ったのは1A-p04:園部より報告のあった,フィラメント間超電導ブリッジを設けた線材で構成するSCSC-IFBケーブルである。銅ブリッジで劣化したn値を改善する手法で,ブリッジ間隔が短いほど通電特性が良く,磁化損失低減に効果がある点が秀逸である。ロバストなケーブル技術とコイル化技術の発展に期待したい


SCSCケーブル (2) 1A-p06-09 座長 宮崎 寛史

1A-p06:曽我部(京大) 本発表は、SCSCケーブル(1)に引き続き、SCSCケーブルの開発に関する報告である。SCSCケーブルの通電特性の温度依存性を評価するため、ヘリウムを用いたクライオスタットの開発状況について報告があった。本試験装置は、最大5 Tの磁場印加下で温度を4.2 Kから77 Kまで可変とし、最大2 kAの通電が可能である。
1A-p07:坂本(東芝エネルギーシステムズ) SCSCケーブルの樹脂含浸が通電特性に与える影響を実験的に評価するため、塗り込み含浸および真空含浸の2種類の含浸方式を適用し、含浸前後のV–I特性を比較した。その結果、塗り込み含浸ではV–I特性に顕著な変化は見られなかった一方、真空含浸ではIcの低下が確認された。
1A-p08:坂本(東芝エネルギーシステムズ) SCSCケーブルのターミナル部における引張応力に起因する特性劣化を抑制する構造について検討が行われた。ケーブル内側端部の表面にPTFEテープを巻き付けることで、通電特性が改善することが確認された。これは、PTFEによって端部の応力が緩和されたためであると報告された。
1A-p09:福井(新潟大) SCSCケーブルを用いた3 MW級回転機における交流損失に関する報告である。本回転機では、界磁に4極ハルバッハ配置の永久磁石を用い、電機子コイルにSCSCケーブルを適用している。定格出力3 MW、回転数5,000 rpmでの運転時における電機子コイルの交流損失について、解析手法およびその結果が報告された。


超電導・低温機器安全教育 1A-p10-12 座長 原田 直幸

1A-p10:神谷(川崎重工)から、6月に開催された「安全工学シンポジウム2025」(参加者:約3000名)の概要、著者がパネリストとして出席したパネルディスカッションの内容や著者が行ったプレゼンテーション「水素社会と極低温・超電導技術」への質問などが報告された。また、水素社会の実現に向けて、原子力の安全工学へのアプローチが参考となることも合わせて報告された。
1A-p11:池内(前川)からは、2025 年1~2 月に実施された「超電導・極低温機器の安全と信頼性のアンケート実施結果」について、機器の信頼性の向上には機器単体だけでなく、現場対応も重要ということが示唆されていること、機器の安全対策として、操作手順書の作成と実施、日常点検の実施と記録、KY 活動などがあげられ、現場での安全対策方法には改善の余地があることが報告された。アンケートの回答数は54 件で、アンケート結果は,「低温工学」への掲載などが行われる予定である。
1A-p12:伊藤(JASTEC)からは、環境・安全委員会で作成した「安全テキスト」について、超電導・極低温技術に従事しようとする若手技術者をターゲットとし、導入教育に活用できることに主眼に置かれていること、今後考慮していくこととして、内容・レベルの充足と整合、他機関との連携、安全基準等のガイドラインの設定が必要であることなどが報告された。


12月09日(火)
B会場

ピンニング・電流輸送特性 1B-a01-07 座長 松本 明善

「1B-a01:松本(名大)」はREBCO線材のさらなる高Jc化を目指して、種々のナノロッドのサイズと体積分率を変化させたTDGLシミュレーションを実施した結果を報告した。
「1B-a02:呉(九大)」はREBCO線材の低温・高磁界領域における電流輸送特性推定のためにパーコレーション転移モデルにピンのスケール則の描像を組み合わせることを行い、推定値の精度が約±21 %であることを示した。
「1B-a03:馬渡(産総研)」は界面抵抗を介した常伝導層と超伝導層の二重層として超伝導線材を単純化し一次元分布定数回路モデルにより超伝導・常伝導層における電流・電位分布を解析した結果を示した。
「1B-a04:宮川(東北大)」はREBCO 線材における表面バリアと整流率の関係の解明を目的としてREBCO 線材を、1 気圧の酸素雰囲気下で異なる温度でアニールし、超伝導ダイオード特性の磁場依存性について報告を行った。
「1B-a05:久米(東北大)」は中低温度域での電気機械特性の温度依存性を調査するために Cu層40μmの厚さを持った線材に対して、パルス通電法による測定を行った。その結果、30–77 K の範囲では不可逆ひずみ𝜀irr は温度に依存しないことを報告した。
「1B-a06:長村(応用科研)」はREBCO線材の臨界電流(Ic)のねじり変形依存性について検討を行っている。その結果、試料端付近の応力状態が主にIcに寄与すると考えられると報告を行った。
「1B-a07:永井(東海大)」はREBCO 線材に引張り、圧縮のひずみを発⽣させた際の超伝導特性の変化を調べる⼿法の開発のために」曲げ歪印加冶具を用いて臨界電流の磁場角度依存性の測定を行った。


RE123 線材・Bi2223 線材 1B-p01-08 座長 土屋 雄司

1B-p01:石井(都立大)らは、FF-MOD法により作製したGd123薄膜中にGd214ナノプレートを人工ピンとして導入し、Jcの磁場角度依存性を評価した。TEM観察から214相が母相と良好なミスフィットで形成されていることが示され、77 KにおけるJc-θ測定では面内ピンニングの増強が確認された。214相の生成機構について活発な議論がなされた。1B-p02:下山(青学大)らは、FF-MOD法の多様な材料系への応用可能性を示し、REBCOに加えてBi2212やBaMO₃(M=Hf, Zr, Sn)など幅広い展開を報告した。溶液設計や反応制御の自由度の高さが印象的であった。1B-p03:小山田(SWCC)らは、Ba組成を制御したYGdBaCO+BZO線材の磁場中特性を評価し、膜厚増加によるIc向上を示した。一方で、規格化した場合のピンニング特性は大きく変わらないことが示され、組織制御と電流特性の関係が議論された。1B-p04:木須(九大)らは、PLD法によるREBCO線材作製において、多数のプロセス条件がIcおよびn値に与える影響をデータ駆動型に解析する試みを報告した。Reel to Reel測定と磁化緩和測定の組み合わせによって多数の条件点を取得し、機械学習を用いて支配的なパラメータ抽出や最適条件探索を行うアプローチが示され、磁束ピンニングの観点から材料プロセス最適化の可能性が示唆された。1B-p05:武居(北大)らは、REBCO導体内部の電流密度分布推定に機械学習を適用する手法を報告した。磁場分布計測データを入力として、CNNなどの手法を用いた電流分布推定を試み、FFTとの比較も含めて手法の妥当性が検討された。教師データの取り扱いについて活発な議論がなされた。1B-p06:大久保(青学大)らは、Ag積層厚膜型Bi2223短尺テープについて報告した。約25%のPb置換により結晶配向や微細組織が変化する可能性が示され、Bi2223結晶の成長過程について質疑が行われた。特に表面の凹凸がどのように結晶成長に与える影響について、今後の詳細検討が期待される。


12月09日(火)
C会場

超電導電動機 1C-a01-07 座長 小川 純

1C-a01:中村(京都大)によりこれまでの高温超電導誘導同期モータの開発の経緯と実例として液化水素サブマージポンプと水素自動車のポンプ用モータが紹介された。新たな巻線手法として接合点を減らすことができるあやとり巻線法の紹介がなされた。
1C-a02:三瓶(京都大)によりあやとり巻線法を用いた高温超電導誘導同期モータの加速試験と負荷試験の結果が示され2.8kWの出力が得られたことが報告された。
1C-a03:水谷(京都大)により高温超電導誘導同期モータの原理をリニアアクチュエータに応用した実験例が示され16Nを超える推力があったことが示された。動画による往復運動の様子も紹介されスムーズに制御がなされていた。
1C-a04:奥村(東京大)により、全超電導モータに用いられるマルチフィラメントMgB2線を対象とした3次元解析モデルのA-V法による交流損失の導出結果が示された。ヒステリシス損失と結合損失について母材の導電率が異なる場合についての検討が行われた。
1C-a05:武田(鹿児島大)により空芯型超伝導誘導電動機用REBCO巻線型回転子の誘導電流について調査を行うためレーストラック型コイルに回転磁界を印加する実験を行い、数値解析結果と比較を行い非常によく一致することが報告された。
1C-a06:安藤(鹿児島大)により空芯型超伝導誘導電動機用カゴ型超伝導回転子に流れる電流が臨界電流値を超えるまでトルクの測定が行われ解析値と比較しよく一致することが報告された。
1C-a07:石原(九州大)により瓦型の超電導バルクを回転子としたモータに対し磁場中冷却により着磁を行い動作確認が行われた。ギャップ間が広かったため着磁自体が小さくなってしまったが回転動作は確認できたことが報告された。


東芝ESS モビリティ向け超電導モータ 1C-p01-05 座長 中村 武恒

本セッションでは、モビリティ向けの超電導モータの研究開発に関して、東芝ESSから合計5件の発表があり、モータの構造や試験手法、運転時間に至るまで発表者と座長、聴衆の間で幅広く議論が行われた。
 1C-p01の戸坂らはプロジェクトの概要にて超電導モータ1号機(2 MW@7200 rpm, 8極)の基本仕様や本モータの出力密度(5.3 kW/kg)、高速回転試験とトルク試験を別々に行った結果等を発表し、最後の二つでは最大回転数6874 rpm及び最大トルク2759 Nm@88 rpmを得たことを報告した。
 1C-p02の阿部らは、上記の超電導モータ1号機に搭載する8極分の超電導界磁コイル(211ターン, 定格電流325 A)の設計及び試験結果等に関して発表し、上記の回転試験では遠心力として約7930 Gを経験し、さらに三相電機子短絡試験で界磁電流を最高で327 A通電し上記の最大トルク(2759 Nm@88 rpm)を経験した後においても界磁コイルの劣化が認められなかったことを報告した。
 1C-p03の仲間及び1C-p04の高橋らは、超電導モータ1号機の冷却系(Heガス循環)に関して冷却構造及び電流リード等の冷却系要素の熱負荷に関しての試験結果に関して発表し、ロータ静止かつ界磁電流0 Aの状態での熱負荷測定では設計値90.5 Wに対して測定値91 W、電流リード部分での325 A通電時の熱負荷は41.0 Wに対して計算値は40 Wとほぼ設計通りであったことを報告した。
 1C-05の岡安らは、上記を踏まえての超電導モータ2号機(2 MW@7200 rpm, 6極)の界磁コイル(247ターン, 定格電流220 A)に関して製作・試験を行い、伝導冷却による運転温度30 Kで定格電流220 Aの1時間連続運転を行い、健全性を確認したことを報告した。


産業応用 (2) 1C-p06-08 座長 井上 良太

1C-p06 :岐阜高専・青学大のグループから,駆動型磁気冷凍システムにおける摩擦の課題を解決するための超伝導磁気浮上アクチュエータが提案され,超伝導磁気浮上による電磁力支持のコンセプトデザインが報告された。
3B-a05 :東大のグループから,超電導磁気軸受の電磁的損失低減のための3次元電磁界数値解析手法に関する報告があった。磁界中冷却後および初期ギャップのまま回転させた条件での超電導磁気軸受における回転損失の析結果が報告された。
3B-a06 :上智大・KEK・NIFS・東北大のグループから,電気自動車の急速充電用超電導DCDCコンバータの高昇圧比動作に関する報告があった。Bi2223インダクタおよびMgB2 インダクタを用いた2種類のDC-DC コンバータが報告され,共に高効率動作が可能であることが報告された。


12月09日(火)
D会場

計測・基礎(1) 1D-a01-06 座長 山田 智宏1D-a01:白木原(大同大院)
REBCO線材のねじり変形下の二次元ひずみを実測するため、3チャンネルのロゼットゲージとねじり負荷試験装置を用いて、平面応力の解析を行った。線材がねじれることによるせん断応力の正負が測定された。
1D-a02:町屋(大同大学)
 REBCO線材の安定化銅部の残留応力をconsα法で測定した結果、引張方向に銅の降伏応力の限界程度の残留応力が蓄積されており、すなわち超伝導層側に圧縮方向の応力がかかっていることが示唆された。
1D-a03:神田(中部大学)
 短絡電流が流れた際の温度上昇によって超伝導テープ線材に発生するひずみを半導体ひずみゲージを用いて実測し、電流値を増大させるとひずみも大きくなることが実測された。
1D-a04:山口(中部大学)
 超伝導テープ線材の短絡電流試験時の電流値の振る舞いについて、超伝導体部を流れる電流と常伝導体部を流れる電流を分離して解析した結果RE123では実験結果と良く一致したが、Bi2223については二つの電流の磁気結合を考慮する必要がありそうとのことだ。
1D-a05:西岡(新潟大学)
 高感度NMR測定のため、従来の方向切替器をスイッチに置き換えることでRFケーブル経由の外来ノイズ混入を防ぎ、増幅器も低温にし熱雑音を低減することで、従来システムの1.5倍のSNRを得た。
1D-a06:高木(大阪工業大学)
非接触磁場マッピングの手段として磁気光学イメージングに着目した。偏光角マップから磁場分布を推定するため、物理シミュレーションにより生成した教師データをAIに学習させ、高い精度で磁場分布の再構成できることを示した。


液体水素 (2) 1D-p01-04 座長 平野 直樹今回の学会では、液体水素に関するセッションが3つあり、本セッションはその2で、いずれも神戸大学からの4件の口頭発表であった。
1D-p01:川嶌(神戸大)らは、液体水素容器に液体水素を充填する際の蒸発ロスを防ぐために、サブクール液体水素をポンプで加圧しながら急速に容器に充填する技術において、臨界点を超えた水素を取り扱うこととなるが、超臨界水素の熱侵入特性は明らかにされていないことに着目した研究を発表した。横置き型液体水素容器を用い、ある充填率まで液体水素を充填し、熱侵入量を測定・評価した結果を紹介した。また、実験において、MgB2液面計を用いたが、温度がMgB2の臨界温度を超えたことにより液面計が正常動作しなかったことも報告した。
1D-p02:平本(神戸大)らは、液体水素の容器形状が用途によって異なることに着目し、自然入熱による影響の違いを明らかにする目的で研究を行った。横置き型と縦置き型容器に対し、放置時の容器内部の温度・圧力・ボイルオフガス流量の時間変化を測定した結果を報告した。横置き型の方が縦置き型よりも液体水素の蒸発が早いことや、液面の時間変化挙動が異なり、侵入熱量も同じ充填率で横置き型の方が大きいなどの結果が得られた。
しかしながら用途に応じて最適な形状が選定されることから、一概に縦置き型が良いとの結論にはならないとも言及された、
1D-p03:水口(神戸大)らは、液体水素タンク内の液体水素を移送する際に、水素ガスを用いて加圧して差圧で液体水素を移送する場合の、加圧条件とタンク内の温度・圧力変化の関係が解明されていないことに着目した研究を発表した。液体水素の初期充填率、加圧速度、加圧位置をパラメータに液体縦置き型クライオスタットを用いた液体水素の球加圧試験を行った結果を紹介した。加圧位置の違いで、水素ガス流量や圧力上昇率などに違いが見られるとのことであった。加圧に用いる水素ガスの温度も重要なパラメータであり、今後その影響を調べるとのことであった。
1D-p04:河江(神戸大)らは、水素は爆発する危険のある物質であることから、別の安全な物質で実験を行い、その結果から水素の実験を予測できないかとの着眼で、液体水素と液体窒素を対象とした蓄圧実験の結果を比較することでその類似性や相違性を明らかにする研究について発表した。縦置き並びに横置き型容器を用いた蓄圧実験で、液相部では縦置き型が規則性のある温度上昇の変化、横置き型は不規則な変化が観察されたとの報告であった。充填率によっても結果に違いが見られたとのことで、多くの実験結果の蓄積が必要であるとの見解であった。


液体水素 (3) 1D-p05-08 座長 岡村 哲至

「1D-p05:中納(高圧ガス保安協会)」底がコンクリート、及び砂利、土がそれぞれ底に敷き詰められた容器に液体水素が送液された場合の、容器内の液体水素重量や温度の挙動についての計測結果が示された。防液堤から液体水素が大量に漏れ出した場合の伝熱特性などに示唆を与える研究である。
「1D-p02:福本(山本電機)」32K程度のTcを持つMgB2線材を用いた水素液面センサーの性能評価結果が示された。大気圧下では液面高さと液面センサーの出力電圧に高い直線性が見られた。0.9MPaGまで圧力上昇した場合は実液よりも低い値を示し、原因を調査中とのことである。
「1D-p03:髙田(NIFS)」液体水素タンクの真空断熱層に空気がスローリークした場合の、真空劣化に関する発表である。壁面が液体水素温度に保たれた真空容器内に室温の空気を注入し、容器内の圧力上昇をコンビネーションゲージCC-10とバラトロン真空計で計測した。計測された圧力値には3倍近くの開きがあり、まずは原因の解明が待たれる。
「1D-p04:森江(住重)」GM冷凍機による水素の液化、及び再凝縮の実証実験を行い、ボイルオフガス対策としての経済性について議論された。この実験では圧力上昇が完全に抑制されるとともに、1%近いCOPが得られた。ボイルオフガス対策として十分な経済性が見込めるが、運用状況に応じた冷凍機運転の応対性が実用に向けて求められるとのことである。


12月09日(火)
P会場 ポスターセッションI

低温技術教育 1P-p01-03 座長 寺尾 悠

1P-p01の齊藤(フジクラ)らは、冷凍部会主催の夏合宿で製作したパルスチューブ冷凍機に関して、圧縮機の開閉バルブに電磁弁を用いたタイプの製作・動作試験結果を発表し、最低到達温度記録をこれまでの31 Kから25 Kに更新した結果を発表した。
1P-p02の藤井(KEK)らは、同じく夏合宿で製作したパルスチューブ冷凍機に関して、ロータリーバルブを使用したタイプに関する製作・動作試験結果を発表し、最低到達温度が78 Kとなった結果を発表した。
1P-p03の原田(山口大)らは、学生実験における超電導をテーマとした項目において、REBCOテープ線材で1ターンのコイルを作り、永久磁石(PM)を常電導状態から近接させた状態で冷却し、冷却後にPMを離した際に流れる電流の時定数変化より抵抗Rを求めるという内容の紹介及び、バルク超電導体における磁束の捕捉実験に関する内容紹介を行った。


HTS コイル 1P-p04-05 座長 武藤 翔吾

1P-p04:田中(上智大)らは、低温で固化するイオン液体を含浸材とするHTSコイルのクエンチ特性について報告した。エポキシ樹脂単体よりも熱伝導率が良いため、ホットスポット温度の低減が期待されるが、今回の実験ではそれを支持する結果が得られなかったとのこと。ガラス転位温度周辺での物性値の振る舞いや、接触状態の影響などが議論された。
1P-p05:宇都宮(岡山大)らは、X線回折内に設置するベクトルコイルの設計に関して報告した。小型のコイルで磁場分布を評価し、目標磁場の空間分布を持っていることを確認した。


MRI・産業応用 (1) 1P-p06-09 座長 小林 宏泰

「1P-p06:長崎(東北大)」
超電導接合が不要なことによる高い遮蔽率と遮蔽効果の長期持続性を両立するHTSシールドの構成方法を明らかにするとともに、磁束クリープモデルの適用により、HTSシールド内の遮蔽電流および遮蔽効果の減衰特性が評価可能であるとの結果が報告された。
「1P-p07:朝倉(九大)」
患者上方が完全に開放された完全開放型MRIの設計に関する報告があった。静磁場磁石には、高い開放性とコイル配置の自由度を両立できるHTS鞍型コイルを採用し,さらに、鞍型コイルのみでは達成困難な磁場均一性を得るため、補正コイルを追加した最適化が検討されている。
「1P-p08:増田(明治大)」
ダイオード、MOSFET、(RB-)IGBTの導通特性を液体窒素温度まで測定した結果が報告された。MOSFET以外の半導体素子は低温にかけてオン電圧降下の上昇が見られたが、ショットキーバリアダイオード(SBD)は閾電圧以降IV特性の急峻な立ち上がりが見られるため,低温環境において逆阻止能力を付与する際に適している可能性が示唆された。
「1P-p09:稲垣(明治大)」
高周波での特性が良いフェライトコアに温度勾配が生じた場合におけるヒステリシス損失の評価結果が報告された。検討結果において,コア内に温度分布がある場合でも,ヒステリシス損が温度に対して線形な領域で動作しているため,コアの平均温度で一様に分布したと仮定した損失モデルとよく一致したとの報告は興味深い。


液体水素 (1) 1P-p10-11 座長 槇田 康博

本セッションでは2件のポスター発表がされていた。
1P-p10:和久田(日立)等は液体水素を活用した社会像シナリオ作りを行っている「水素・超電導経済研究会」の活動を報告した。液体水素の冷熱を利用した超電導装置と収斂で液化に要するエネルギーとコストを凌駕するユースケースの検討を①長期間エネルギー貯蔵システム、②物流・情報ハブ機能を持つ液体水素拠点、③鉄鋼産業向け超電導応用という3つの分野を設定して検討されていた。「経済」研究ということで、ポスター前ではコストや効率の尺度での議論が活発にされていた。
1P-p11 : 井上(埼玉大学)等は、新エネルギー「水素」の社会実装を目指す日本とドイツの基本計画を文献調査・ドイツの現地調査(意見交換)を元に比較したところ水素の流通形態が根本的に異なっていた。日本がLNG同様液化水素の海上輸送であるのに対して、ドイツは既存のガスパイプライン網を転用した送気である。前者は、液化・気化のエネルギーロスや輸送中の冷却保持という短所、後者は純度が低く、利用するための精製コストは液化並みかかるという課題がある。これら相・圧・輸送方法で別々のサプライチェーンが構想されているため、インフラの主流が見通しづらく、民間投資を抑制し、技術開発も商用化に至らない状態となっていると分析している。また日本が推進する液化水素によるサプライチェーンを推進する方策として、供給される純度が非常に良いことを保証(強調)できる国際標準の策定を提言されていた。


REBO 線材機械特性 1P-p12-14 座長 田中 秀樹

1P-p12:中村(東海大)および1P-p13:大川(東海大)は、REBCO線材を対象に臨界電流や上部臨界磁場の印加ひずみ依存性を明らかにすべく、安定化層などを剥がした状態での超電導特性の評価や、SEMによる組織観察などを行った。いずれの結果においても測定データのバラつきが大きく、測定方法の改善や測定サンプル数の増加が必要と思われる。1P-p14:隠崎(福岡工大)は、REBCO線材のねじりによるIc低下要因検討に際し、走査型ホール素子磁気顕微鏡でのJc分布測定と、SEMによる組織観察とを行った。劣化開始した印加ひずみの値および劣化位置におけるクラック方向の観察により、Ic低下要因が引張りひずみであることを明確に示した。


電流特性測定・解析 1P-p15-19 座長 小野寺 優太

本セッションでは、高温超電導複合導体や有限要素解析を中心とした研究について報告が行われ、特に電流導入部や積層構造に起因する電流分布や電圧発生の把握に向けた議論が行われた。
1P-p15:渡辺(JSOL)
高温超電導線材における臨界電流値の磁場印加角度依存性を考慮した有限要素解析の適用例が紹介された。大規模計算の課題に対し、並列処理などにより解析速度が向上している点が印象的であり、今後のマルチフィジックス解析への応用可能性が示唆された。
1P-p16:田代(福岡工大)
REBCO複合導体の電流導入部における接合距離依存性について解析が報告された。接合距離が大きいほど、取り付けた銅プレートへの電流の流入が抑制されることが示され、電流値や接合条件が電圧計測に影響する要因を理解する上で重要な知見である。実験時の設計指針として有用と感じられた。
1P-p17:宇都宮(福岡工大)
単純積層およびFFDS構造に対して積層枚数を増加させた場合の電流輸送特性が実験と解析で検討された。線材の向きにより常電導抵抗の振る舞いが大きく変化する点が明確に示され、電流導入部や積層構造の設計の重要性が再確認された。解析は更なる精査の余地があるが、全体として整合的な結果が得られていた。
1P-p19:山口(福岡工大)
半田を用いない1kA級臨界電流計測システムの構築が報告された。銀ペーストによる電圧端子の接続と、インジウムを介した電流端子の圧着接続によって大電流通電計測を実現していたが、焼損が電流端子近傍でなかった点が興味深く、半田フリー化による抵抗変化や発熱挙動の追加検証が望まれる。


REBCO 線材評価 1P-p20-22 座長 松本 要

本セッションでは3件の発表があった。西村(1P-p20; 東海大)は、YBCO丸線材開発においてNb3Snの添加効果に関する解析結果について報告した。Tcと材料組織観察から、Nb3Sn添加により急激なTc低下は起こらないものの、組織に空隙が観察され、液相が出現していることが示唆された。現時点では、組織学的・熱平衡状態図的な検討は未実施であるが興味深い。今後、NbとSnの添加が実際にYBCOの包晶温度を下げるのか、それとも他の液相が形成されている現象なのかの切り分けが必要であろう。関戸(1P-p21; 福岡工大)は、REBCO線材の交流損失低減を目的として、基板上にNbやZr系材料をパターニングしてその直上の乱れたREBCO組織を用いて超電導電流を抑制する手法について報告した。今回はNbパターン試料が示され、交流損失低減の可能性が示唆されたが、乱れた組織は絶縁体ではなく、Nbの抵抗率をもっていることが明らかになった。高城(1P-p22; 福岡工大)は、基板上にTFA-MOD法により24層塗布してREBCO薄膜を作製し、薄膜内のBa/RE比を系統的に変化させた試料について報告した。Ba比を高くした条件でIc特性の向上が確認され、不純物相や空隙率の低減による有効断面積増加の可能性が示された。


計測・基礎 (2) 1P-p23-24 座長 中納 暁洋

1P-23:小田 (KEK) ※小田体調不良により岡村(KEK)が発表
CRYO CMOS集積回路の評価を行うための冷却試験装置として、液体ヘリウム浸漬式と、積層造形ラティス構造の表面を有する特殊な銅板を介して液体ヘリウムに熱を伝える熱伝導方式の冷却試験装置を試作して性能比較を行っていた。実際のCRYO CMOS運用は後者によって行われる予定ということで、試作した熱伝導方式の冷却装置で冷却が可能という報告であった。
1P-24: 玉村 (岡山大)
無絶縁高温超電導コイルの実用化を踏まえ、巻線間接触抵抗の評価法として低周波交流電流(LFAC)法を提案しているが、その適用にはコイル径方向と線材幅方向での電流密度が均一である必要がある。今回は20ターンから100ターンに増やしたコイルについて、部分要素等価回路(PEEC)法を適用し数値解析を行い電流密度の均一性を確認すると共に、線材幅を4mmとした3次元解析でも電流密度の均一性が確認できたとの報告であった。


12月10日(水)
A会場

HTS 交流損失 2A-a01-03 座長 間藤 昂允

2A-a01:武藤(フジクラ)らは,発表者らが開発している10 T級REBCO超電導マグネットにおける交流電流印加時の損失測定・解析結果について報告した.低周波での電流・位相合わせに関して議論がなされた.
2A-a02:古跡(室蘭工大)らは,単線または多岐線で巻線されたREBCOコイルの磁化損失を簡易的な評価方法により算出し,内径の違いによる影響を調査した.
2A-a03:谷口(室蘭工大)らは,単線または多岐線で巻線されたREBCOコイルの磁化損失を簡易的な評価方法により算出し,コイル長さの違いによる影響を調査した.


デバイス応用 2A-p04-08 座長 掛谷 一弘

2A-p04:有田(九工大)
非線型応答する物理系を用いたリザバーコンピューティングへの応用に関する研究が増加してきている。本講演では、超伝導体におけるピン止めされた量子化磁束系を用いたリザバーコンピューティングの例として、音声認識に注目して、数字分類精度を評価した。ピン止め中心の濃度、ピン止め強さを変えて分類精度を評価した際に、最大99%の精度を達成し、本提案の有用性が示された。質疑応答では、ピン止めなど超伝導に関する質問だけでなく、リザバーコンピューティングを想定した入出力についての質問があった。
2A-p07:森田(山梨大)
0.7-3.0 GHz帯における天文観測に必要なマルチバンドフィルタとして、7つの通過帯を有するヘプタバンド帯域通過フィルタの設計と作製を行った。周波数帯の特徴に応じて、フィルタへの給電方式を変えたり、電界結合給電において配置を工夫したり、小型共振器構造を採用することにより7周波数帯の通過フィルの実装に成功した。得られたフィルタの透過特性は数値計算結果と一致しており、発表者グループの技術の高さが示された。
2A-p08:福崎(横国大)
無線通信やニューラルネットワークなどでの応用が期待されているストカスティック数を生成する方法として、単一磁束量子回路を有するSRNGを用いた回路の設計と動作実証を行った。SRNGの分岐された出力を相補的にしたRNGCを複数用いた回路を作製することで、ストカスティック数の生成ができることが分かった。この方法は過去に超伝導デジタルコンパレータを用いて提案された方法に比べて、大幅にジョセフソン接合数を減少させているので、消費電力の減少が期待できる。


12月10日(水)
B会場

薄膜・バルク作製 2B-a01-05 座長 内藤 智之

本セッションでは5件の発表があり,2件はREBCOバルク,3件はREBCO薄膜に関する発表であった。
「2B-a01:元木(青学大)」
4枚の正方形EuBCOプレートを田の字型に並べてシードプレートとし,外径100mm,内径50mmの前駆体(疑似的シードプレートの1辺の長さより直径は大きい)から直径約80mmのYBCOリングバルクをSDMG法で作製できた。これによりマルチシード法により作製可能なバルクサイズに上限が無いことが示された。
「2B-a02:松永(青学大)」
TSMG法およびSDMG法による大型GdBCOバルクの作製および超伝導特性についての報告であった。SDMG法GdBCOバルクはTcの場所依存性から均質であり,かつTSMG法よりも高い捕捉磁場を得られることからSDMG法が大型バルクの作製に適していることが示された。
「2B-a03:垂水(都立大)」
FF-MOD法で作製されたGd123薄膜のJc特性が2種類のRE214(RE=Gd, Sm)を共添加することで単独添加するよりも向上することが示された。そのメカニズムについて議論があり,SmとBaの固溶置換の有無や混合溶液からRE214が出来ているのか?などの質疑があった。
「2B-a04:畠(青学大)」
FF-MOD法で作製されたYBCO薄膜に軽REを添加するとRE/Ba固溶量が適度のときにJc特性が向上することが示された。
「2B-a05:相楽(青学大)」
FF-MOD法で作製されたYBCO薄膜のIcに対する不純物添加効果および厚膜化についての報告であった。Cl添加薄膜のIcは膜厚に比例して増加するが,Clと金属元素を共添加した薄膜のIcの増加率は前者に比べて小さいことが示された。


バルク試験・着磁 2B-a06-08 座長 元木 貴則

本セッションからは3件の発表があった。2B-a06:内藤(岩手大)らは、GdBCOバルク磁石を用いた磁場中引張強度試験装置の開発結果について報告した。外径66 mm, 厚さ16 mmのGdBCOバルクを50 K, 7 T下で着磁することで表面中心磁場6.7 Tの着磁に成功した。実際に試験を実施するバルク表面から13 mm上方で3.4 Tの磁場が得られており、その磁場環境下での引張試験結果も示された。磁場の水平面内の均一性を高めたり、距離による減衰を抑えるための方策についての活発な議論が行われた。2B-a07:岡(芝浦工大)らは、GdBCOバルク磁石を用いた単極型Time-Domain (TD) NMRの開発について報告した。複数回の連続したパルス励磁(IMRA法)によりバルクを着磁し、約45 Kで最大1.73 Tの表面磁場が得られた。バルク表面上方の平坦部の多い磁場分布を用いてTD-NMRを試作し、実際の信号の時間変化が検出可能であることも報告した。2B-a08:横山(足利大)らは、新たなパルスを用いたバルク着磁法(First Applying a Very Small magnetic field; FAVS法)について報告した。印加磁場を徐々に低下させて複数回のパルスを印加するIMRA法など多くのパルス着磁法が報告されているが、FAVS法は1回目に弱いパルス磁場を印加し、100秒後に5 T程度のパルスを印加する方法である。これにより、5 Tの単一パルスのみを印加する場合よりも10%以上の捕捉磁場の改善が見られた。1回目のパルスで磁束を侵入させることで2度目のパルス印加時の発熱を抑制できたことが捕捉磁場特性改善の要因として考察された。


MgB2 (1) 2B-p01-04 座長 小田部 荘司

2B-p01 田中(日立製作所)らはMgB2線材の許容曲げ半径を最小化するということからこれまで引っ張りについて検討していたが、ここでは圧縮歪みに着目して研究を行なった。その結果、圧縮歪みは1.58%のところで不可逆にクラックが発生するということがわかり、初期の0.18%の残留歪みと合わせて1.77%が内部圧縮歪みであると結論した。
2B-p02 那須川(青学大)らはフルウチ化学社製と東ソー製のB粉末にTiB2を添加してMgB2を作成して、添加効果を調べた。東ソー製のB粉末は酸素を含むので、含有酸素量を減じる処理を施して、MgOの生成を抑制してコネクティビティを上げる工夫をした。その結果、添加により特に高磁場において臨界電流密度の改善を見いだした。
2B-p03 野尻(青学大)らは同じくフルウチ化学社製と東ソー製のB粉末を用いて、7:3に調整し、炭素をドープしたMgB2を作成した。ここでも酸素量を減じることによりMgOの生成が大幅に減らすことができることをXRDで示した。また臨界電流密度は高磁界でやはり改善されることが示された。
2B-p04 中川(神戸大)らは液体水素の液面センサーとして利用するためのMgB2線材について、引っ張り応力を与えた場合、添加物を入れた場合、そして線径を変えた場合について臨界温度と常伝導超伝導転移温度幅を詳細に調べた。その結果、臨界温度と転移温度幅は大きく変化した。これらの結果から実際の液面センサーの作成に繋ぐ予定である。


REBCO 多芯・多肢線材 2B-a05-08 座長 町 敬人

「2B-p05:松本(NIMS)」らはボトムアップ方式の多芯REBCO線材を目指し,その微細組織観察の結果を報告した。観察方法はSTEM,SEM,MOなどの手法を用いていた。STO基板上にストライプを形成した後にPLD法で超電導膜を形成した試料である。修飾材料としては金属系ではZr, Nb, Agを,絶縁体ではSiO2,Al2O3を用いていた。SiO2のバンク幅は4µm+5µm程度で,Al2O3のバンク幅は5µm程度であった。フォトリソ構造としてはAl2O3がよいのではないかという結論であった。「2B-p06:遠松(室蘭工大)」らは圧力集中法で作製したREBCO多岐線の磁場中特性について報告した。Ag安定化層REBCO線材に37枚の丸刃を押し当てて非連続の断続的なクラックを形成した試料である。多岐線となった後のX線回折では(007)の半値幅が小さくなっており,何らかの構造変化を起こしている可能性がある。0.7〜1.2Tで磁場をc軸方向に印加した場合のIc(B)特性に大きな低減は起きていなかった。ただし磁場の上げ下げで磁場特性が異なる現象については明確な説明はなかった。「2B-p07:陰山(室蘭工大)」らは非連続加工の多岐線と連続加工の多芯線を作製し,磁場中Icや交流損失の測定を行った結果を報告した。多岐線の加工は圧力集中法(負荷30N)であり多芯線の加工はV字曲げ法(負荷300N)を用いていた。多芯線の0.7TでのIcは10Aで多岐線は47.5Aであり,多岐線が高いのは電流が分離していない部分を迂回するために臨界電流が保持されると考えていた。交流損失の測定は差動式コイルを用いていた。多岐線の交流損失は約1/2に低減されていたが,分割数からするとヒステリシス損失の低減が少ないと感じた。「2B-p08:Muhammad Hariz Lugman Bin Rosli(室蘭工大)」らは有限要素法により多岐線に加わる応力を計算することで加工変形の計算を行った結果を報告した。シミュレーションは静的2次元で,REBCO線材のAg安定化層から丸刃を当てて超電導層,バッファ層,ハステロイ基板にどのような影響があるかを計算していた。その結果,セラミックは破壊されやすいため変形よりも損傷が発生するのではないかということであった。


12月10日(水)
C会場

Nb3Sn 線材・導体 2C-p01-03 座長 杉本 昌弘

「Nb3Sn線材・導体」のセッションでは3件の報告があった。2C-p01:伴野(NIMS)は、ブロンズ法Nb3Sn線材で、CuへのZn添加量がNb3Sn層形成とピンニング特性に及ぼす影響を調査した。12wt%Zn添加での特性変化について、Nb3Sn結晶粒界のCu濃度と関連付けて議論した。2C-p02:菊池(NIMS)は、構造の異なる超極細ジェーリーロール法Nb3Sn線材を試作した。100μmのNbシートと10μmのCuシートを5.5mmのSnロッドの外周に層状に巻き付け銅管に入れた構造のみが外径50μmにまで伸線可能で、48 hr程度の短熱処理時間で1000 A/mm2(@14 T,4.2 K)という高いnon-Cu-Jc特性を達成したと報告した。2C-p03:矢崎(千葉大)は、ケーブル・イン・コンジット導体で、素線間が絶縁されたトリプレックス中の銅素線が電流分布に及ぼす影響をシミュレーションし、素線間の自己・相互インダクタンスを考慮した等価回路解析により、銅素線の挿入で偏流が抑制されることを示した。相互インダクタンス計算や素線間の電気的接触条件について質疑応答があった。


電力応用 2C-p04-09 座長 川畑 秋馬

2C-p04:大屋(関学)らは、液体水素浸漬冷却下における高温超電導線材のkA級通電試験が可能な環境を整備中であり、今回、2 kA級の交流誘導通電試験を行うために設計・製作した一次および二次REBCOコイルが液体窒素冷却下で設計通りの性能を示したことを報告した。Ic の評価方法についての議論やこの実験環境の超電導線材以外の部品・材料の評価への活用可能性に関する質問があった。
2C-p05:東川(九大)らは、多層並列巻線の適用によりエネルギー貯蔵に必要なインダクタンス確保を狙ったkA級SMESケーブルを設計・作製し、その電流分布特性についての評価結果を報告した。作製した4層から成るSMESケーブルには偏流が見られ、偏流に伴う付加的な損失も発生したが、再エネの出力変動補償の用途には十分に供するものであるとした。偏流に伴う交流損失や過電流保護に関する質疑があった。
2C-p06:寺尾(京大)らは、着磁方向を軸方向あるいは径方向とした2種類のリング状永久磁石(PM)を用いた超電導磁気軸受(SMB)において、SMBが回転子等の重量物を支える際に、PMの着磁方向の違いにより重量物を伴ったSMBの支持能力への影響を調べた。径方向着磁のPMは軸方向着磁のPMに比べ磁束勾配が小さく、超電導遮蔽電流が小さいため発生する電磁力も弱く、そのためSMBの変位が実験では約3倍大きくなったとした。積極的に径方向にPMを動かした場合の挙動やSMBのコイル形状に関する議論があった。
2C-p07:三品(山梨大)らは、高Q値の超伝導コイルを用いたワイヤレス電力伝送システムの設計パラメータがシステムの耐電力(PHC)特性に与える影響を等価回路解析およびそれに基づく実験によって調べた。その結果、PHCの高いシステムを設計するには、送受電コイル間の結合係数を大きくし、かつ送受電コイルのQ値を揃えることが望ましいとした。共振周波数9.58 MHzの測定条件下におけるコイル電流の経路に関する議論があった。
2C-p08:森(東北大)らは、自立型無人潜水機(AUV)の非接触給電システムにおいて、コイル間の位置ずれが生じた場合でも十分な送電容量を確保できるドッキングフリー方式を実現可能なHTSコイル構造の検討結果を報告した。一次側にHTSコイルを適用して、一次側コイル外径を二次側コイル外径よりも大きくし、交流損失が冷却能力を上回らない範囲で線材間空隙を小さくし、ターン数をできるだけ多くすることが有効であるとした。位置ずれに変動があった場合、電磁力が働いた場合の影響についての質疑があった。
2C-p09:井上(岡山大)らは、地上側にHTSコイル3つ乃至1つ、車両側に銅コイル3つを配置した電気自動車向け超電導非接触給電システムの電力伝送特性の検討結果を報告した。いずれのコイル配置も動作温度を下げると受電電力は増加し、特に40 Kと20 Kで目標の500 kWを超えること、地上側にHTSコイル1つのコイル配置の方が、HTSコイル3つのコイル配置より受電電力は減少するが、HTSコイルの冷却および設置の容易さの観点では優れていることなどを示した。接触式ではなく非接触式とすることのメリット、最終的な充電回路についての質疑応答があった。


12月10日(水)
D会場

流動特性 2D-p01-03 座長 武田 実

2D-p01:安田(秋田県大)らは、Time-of-Flight (ToF) 方式を用いた液体窒素の液面高測定結果について報告した。ToF方式は、液面との非接触測定が可能であり、容器の形状に依存しないという長所がある。低温液体移送中の場合や容器の底面が俵型の場合の測定、測定精度の評価方法、液体窒素と液体水素の違いなどについて質問があった。
2D-p02:岡村(KEK)らは、高エネ物理学実験で用いられるヘリウム (HeⅠ) 冷却システムにおいて、臨界熱流束を超えたときの過熱度ジャンプを構造的に制御する、金属積層造形ラティス構造面の熱伝達特性を測定し、平板やフィン構造伝熱面の場合と比較した結果を報告した。注目している温度ポイント、3Dプリンターで作製した無酸素銅ラティスの熱伝導率などについて質問があった。
2D-p03:島崎(産総研)らは、ジュール・トムソン (JT) 冷凍機のJT冷却回路内を循環する作動流体の状態監視を目指して、市販の音叉型水晶振動子(QFC)の室温と液体窒素温度における共振周波数とQ値の測定結果を報告した。大気圧下の気体窒素(77 K近傍)から液体窒素に変わると、共振周波数とQ値が大幅に低下していた。液体水素、液体ヘリウムを対象としたQFCの特性試験が期待される。


低温水素での材料評価基盤 2D-p04-07 座長 菱沼良光

2D-p04:小野 嘉則(NIMS)
従来の高圧水素ガスを満たした圧力容器内で力学試験を実施する方法(中実試験片方式)では試験温度に制約があったのに対して、細穴を加工した中空試験片の内部に高圧水素ガスを封入することで水素環境を実現する方法(中空試験片方式)を開発し、広範な試験温度にて実施したSUS316Lの引張試験と破面観察の結果を報告した。常温では延性に対する水素の影響が小さいが、200 Kの水素ガスでは延性低下が最も顕著に確認された。
2D-p05:寺田 隼斗(NIMS)
中空試験片方式の引張試験装置にて、SUS316Lにおける20 K液化水素中を含む低温水素環境下での引張試験を実施し、低温度ほど 0.2%耐力、引張強度は高くなり、加工硬化量(引張強度と 0.2% 耐力の差)も増大する傾向を示した。一方で破断伸び及び絞りは低温度ほど減少した。また、過去のWE-NETプロジェクトにおける液化水素環境下材料評価試験設備にて所得されたデータと高い整合性を示した。
2D-p06:福田 真菜(NIMS)
液化水素関連機器の材料評価基盤の整備の一環で、SUS316LとA5083-O(アルミ合金)を用いた液化水素環境下引張試験のラウンドロビンテスト(RRT)の概要とその結果について報告した。SUS316L及びA5083-Oの引張試験結果は参加機関の間で同等の機械特性が得られ、事前に策定したRRT実施要領に基づいて試験を実施することで、異なる試験機関や試験装置を使用しても同様の試験結果が得られることが確認できた。
2D-p07:小松 誠幸(NIMS)
液化水素環境下を含む極低温環境下におけるA5083-O材の破壊靭性特性について報告した。今回取得した破壊靭性値は、77 Kで最高となり 20 Kで最低となった。この結果は、過去のデータと比較すると77 Kの温度では類似していたが、他の温度では異なった。この要因の1つとして、試験片の製造プロセスにおける細かな違いが挙げられるが、原因の特定には至っていない。


12月11日(木)
A会場

33T 無冷媒超電導磁石 (1) 3A-a01-04 座長 西島 元

3A-a01: 淡路 (東北大) は33T無冷媒超電導磁石 (33T-CSM) 開発計画の概要を報告した。33T-CSMは室温ボア32mmを有し、14T LTSアウトサート(コールドボア径320 mm)と19T REBCOインサート(コールドボア68 mm)からなる。全部で7台の極低温冷凍機(シールド用2台、LTS用1台、HTS用4台)で冷却される。R&Dコイルの結果も報告された。
3A-a02: 谷口 (古河電工) は33T-CSMのLTSアウトサートに用いられるNb3Sn導体について報告した。アウトサート最内層はフープ応力275 MPa, 軸圧縮応力51 MPaを経験する。コイルはラザフォードケーブルをリアクト・アンド・ワインド法で、事前曲げ処理も適用して製作された。ケーブル総長は10 kmである。ケーブルから取り出した素線Icの引張ひずみ依存性、横圧縮依存性についても報告され、最大フープ応力275 MPaでも劣化しないことが確認された。また、横圧縮60 MPaでのIc低下10%以下という要求仕様を達成したと報告された。
3A-a03: 藤田 (フジクラ)はHTSインサート用REBCO線材(幅4 mm, Cu厚40 µm)の機械特性を報告した。Cuが通常の線材に比べて暑いため、残留歪の影響でIcが若干低い。77 K自己磁場中引張試験ではIcが不可逆となる歪は0.47-0.51%、応力は567-612 MPaであった。Goldacker式の曲げ試験も行い、不可逆曲げ半径は ~6 mmであった。剥離強度はシングルパンケーキを含浸したコイルで行われ、Cu厚20 µmの通常線材よりも強度は高いと報告された。
3A-a04: 土屋 (東北大)はREBCO線材のJcの温度、磁場、磁場角度依存性を報告した。パルス通電による大電流Ic測定と、25 µmマイクロブリッジ加工試料による磁場角度依存性が報告された。実験結果から20 Kの最小Icは335 A (@20 K, 20 T, 72-75度) と見積もられる。REBCOインサートはREBCOテープ2枚バンドルなので最小Icは670 Aとなり、運転電流361 Aは53%に相当する。十分なマージンがあると報告された。


33T 無冷媒超電導磁石 (2) 3A-a05-08 座長 植田 浩史

 東北大学金研で開発中の33 T無冷媒超伝導マグネット(33T-CSM)に関する一連の発表である。
3A-a05:根塚(東芝ESS):33T-CSM 冷却システムを開発し,モード切り替え構成により液体ヘリウムを使用せずにLTSコイルを156時間で冷却できることを確認した。
3A-a06:高橋(東北大):外挿LTSコイル(定格電流879 A,中心磁場14 T,最大電磁応力275 MPa)は,3つのNb3Snセクションと2つNbTiセクションから構成され,全てのコイルはラザフォード導体を用いている。Nb3Snセクションは,CuNb補強高強度Nb3Snラザフォード導体が採用されている。LTSコイルの冷却・励磁試験の結果,1回のトレーニングクエンチの後,定格まで問題無く通電・励磁できることを確認した。
3A-a07:宇都(東芝ESS):HTSコイル(19 Tインサート)はまだ設計段階であるが,パンケーキ内の応力分布を数値解析により明らかにした。従来は、パンケーキコイルの樹脂含浸方法として、「塗込含浸」方式を採用していたが,REBCO線材の幅方向端部に超伝導層が剥離する方向の応力が局所的に増大することが課題であった。今回は,テープ面間を非接着とし,パンケーキコイルの端面にエポキシ樹脂を塗布する「端面含浸」方式について構造解析を行った。超伝導層への応力伝達が抑制され,応力集中の緩和効果があることを確認した。
3A-a08:野島(東北大):REBCOコイルにおける端面含浸構造が遮蔽電流応力・ひずみ(SCIS)に与える影響を数値解析により検討した。パンケーキ間を接着・一体化することで,SCISにより生じる引張・圧縮応力が相殺され,許容範囲内に抑制できることを明らかにした。


マグネット設計・開発 3A-p01-05 座長 淡路 智

3A-p01: 許 航(明治大)らは、中心コア周上に配置した MgB₂ ツイストケーブルをヘリカルコイル状に巻線した際、素線にかかる曲げひずみ分布の計算方法を提案し、その結果を報告した。熱処理済みのツイストケーブルをさまざまなヘリカルコイルに巻線した場合、曲げひずみはポロイダル角に対して周期的に変化することが示された。単純ヘリカルコイルでは振幅が一定であるのに対し、磁気面ピッチや測地線ピッチの場合には振幅が変調し、例えば磁気面ピッチではポロイダル角約180°付近で曲げひずみを低減できる可能性が示された。
3A-p02: 和久田 毅(日立)らは、磁気冷凍向け回転型超伝導磁石の設計について報告した。液体水素の液化・冷凍を磁気冷凍で行う場合、一般的には磁気冷凍材料を磁場中で往復運動させることが多いが、本報告では円盤上に4等配で配置した積層超伝導磁石を、磁気冷凍材料と相対的に回転させることで冷凍能力を得る仕組みが提案された。マグネットには MgB₂ を用い、20 K 運転3 T を想定して磁石形状および配置の最適化を行った。興味深いアイデアである一方、回転に伴うトルクの問題などが議論された。磁性体にかかる磁気力は、コイルを対称的に配置することで大幅に低減できる可能性があるとのことである。
3A-p03: 緒方 康博(テラル)らは、アルミ押出成形用 750 kW 級磁気加熱装置の開発における HTS マグネット試作について報告した。10 mm 幅の REBCO テープを用いて鉄心に巻線したコイルを作製し、伝導冷却による試験を行った。コイルは約130時間で運転温度に到達し、250 A 通電で中心磁場約 0.8 T を発生した。対象とするビレットは直径7インチ、長さ700 mm を想定しており、押出による温度上昇を考慮して、押出側の磁場がわずかに低くなるよう設計することで、長手方向の温度の均一化する。実験結果ではビレット長手方向の磁場勾配が得られていることが確認された。2026年にはアルミビレット押出製造ラインへの導入を予定しているとのことである。
3A-p04: 今井 拓弥(岡山大)らは、小型高温超伝導マグネットにおける遮蔽電流磁場の簡易計算方法について報告した。遮蔽電流磁場は、REBCO に代表される高温超伝導マグネットで大きな問題となっているが、その計算には高度な解析手法と大きな計算コストを要する。本発表では、簡易計算方法として相互インダクタンスと臨界電流密度を考慮した回路モデルを提案し、有限要素法による結果との比較を行った。コイルは 20 mm ボア、高さ 10 mm の小型 MRI コイルを想定し、運転温度 40 K中心磁場 3 T とした。その結果、得られた遮蔽電流分布は有限要素法と概ね良い一致を示し、遮蔽電流磁場計算の大幅なコスト低減が期待できるとした。
3A-p05: 間藤 昂允(北大)らは、REBCO 線材の遮蔽電流解析における薄膜近似の妥当性について報告した。遮蔽電流計算では薄膜近似が広く用いられているが、超伝導膜厚が厚くなると近似からのずれが問題となる。この影響を調べるため、膜厚を考慮した数値計算を行った。12層積層 REBCO パンケーキコイルに電流掃引を行った場合、膜厚が 1 μm であってもマグネット赤道付近では線材厚み方向の電流分布がわずかに現れ、100 μm では顕著となる結果が得られた。通常の REBCO 線材の超伝導層厚は 1~3 μm 程度であるため、この影響を考慮する必要が生じる可能性がある。


12月11日(木)
B会場

核融合・HTS 大電流導体開発 3B-a01-06 座長 松永 信之介

本セッションでは、核融合装置のマグネットシステムやHTS導体に関連する6件の講演があり、活発な議論が行われた。
「3B-a01:園田翔梧(量研機構)」JT-60SA装置におけるクエンチ誤検出防止のための検出器の回路調整に関する実験的検討が示された。特に、可変キャパシタ方式が周囲温度の影響を受けにくく、今後の運転への反映が期待される。
「3B-a02:数野未結(上智大)」JT-60SA TFコイルにおける設置誤差起因の相互インダクタンスと誘導電圧の解析結果が示され、TFコイルの設置誤差を考慮した数値計算値と実験値は概ね整合することが報告された。
「3B-a03:岩井貞憲(京都フュージョニアリング)」FAST装置設計に際し、HTS導体を用いたTFコイル12本構成に基づくマグネットシステム設計の検討状況が報告された。コンパクト性が向上した一方で転倒力支持が課題であることが示された。
「3B-a04:田村仁(Helical Fusion)」UROCOIC導体を用いた無絶縁ダブルパンケーキコイルにおける電流分布解析が紹介された。実験値との比較による物理パラメータの同定について議論された。
「3B-a05:山田穣(NIMS,上海超電導)」拡散接合によるCuM/REBCO導体の長尺化・高強度化技術が報告され、短時間・低温接合による実用性が示された。
「3B-a06:比村元彦(東北大)」HTS STARS導体の端部低抵抗接続の実現に向け、エッジジョイントにおける接合抵抗低減手法が検討され、構造ごとの電流パスと抵抗値の関係が示された。


加速器 (1) 3B-a07-09 座長 田村 仁




交流損失 (2) 3B-p01-04 座長 柁川 一弘

3B-p01:藤崎(鹿児島大)らは、外部磁界印加時の交流損失を電気的に測定するピックアップコイル法について、楕円型検出コイルと同時サンプリングADコンバータを組み合わせて、キャンセリング処理の有無が測定される交流損失に与える影響を実験的に検討した。3B-p02:西山(室蘭工大)らは、差動式検出コイルの片方に挿入した正方形状に切り出したREBCO線材1枚の幅広面に垂直に外部磁界を印加した際に発生する交流損失を測定する手法を構築し、MPMS装置による測定結果と比較することにより、その有効性を確認した。3B-p03:金沢(室蘭工大)らは、正方形状に切り出したままのREBCO線材(単芯線)と圧力集中法を用いて荷重加工することで結晶粒間にクラックを形成した試料(多岐線)で発生する交流損失を差動式検出コイルで測定し、多岐化による損失低減効果を確認した。3B-p04:錦織(岡山大)らは、母材の種類や電気絶縁処理の有無が異なる6種類のMgB2極細線材における臨界電流や交流通電損失を測定し、絶縁の有無は両特性にほとんど影響を与えず、また、CuNiシース線材での渦電流による損失増加効果を確認した。


12月11日(木)
C会場

超電導・低抵抗接合 3C-a01-07 武田 泰明

3C-a01:中西(室工大)らは、線材のGdBCO表面上における(Y,Yb)BCOの結晶成長について報告した。配向した(Y,Yb)BCOが結晶成長した可能性はあるが、評価がX線回折のみであったため、質疑では他の実験でも確かめる必要があることが議論された。
3C-a02:横山(室工大)らは、GdBCO線材の熱処理による酸素脱離と、酸素アニールによる臨界電流の回復について報告した。c軸長から酸素量を推測していたが、引用したデータがYBCOのものであったため、酸素量が正確に評価できていないことが質疑で指摘された。
3C-a03:佐野(青学大)らは線材のREBCO表面の凹凸に注目し、機械的な研磨により表面を平坦化したことで線材間の超電導接合が形成しやすくなることを報告した。表面の突起物の一部は配向が乱れたREBCOなどであり、除去しても問題なく接合が可能とのことであった。
3C-a04:世良(九大)らはREBCO線材間の音波接合において、線材を劣化させずに低抵抗接合が可能な温度上限が243℃であることを、解析によって推定した。質疑ではなぜ比較的低い温度で劣化が起こるのかについて、酸素脱離よりも熱による収縮や膨張の可能性があることが議論された。
3C-a05:大倉(阪大)らはクエン酸溶液を使った酸化被膜除去によりREBCO線材の銅表面を活性化させ、かつ表面を酸化させることなく銅を低温拡散させることで直接の低抵抗接合を行った。接合後のIcにはばらつきがあったが、測定上の問題も含まれているとのことであった。
3C-a06:佐藤(東北大)らはREBCO線材のCu/Ag界面の抵抗評価を報告し、低温ほど抵抗が高くなることを報告した。さらにその妥当性についてIn箔を介した接合形成から評価を試みていることも報告があったが、銅保護層がない線材ではAgIn2が生成してしまうことが課題とのことであった。
3C-a07:伊藤(東北大)らは鉄道き電線用のREBCOケーブル適用を意識した挿入金属を用いた低抵抗接合を報告した。In, Sn, InメッキSnについて、圧力や温度、フラックス塗布後の洗浄有・無の条件を変えて試験し、簡易接合、接合抵抗、耐常温クリープ変形のすべてを満たす接合条件を検討中であることが報告された。


磁気分離 3C-p01-04 横山 和哉

3C-p01:梶村(神戸大)らは永久磁石を用いた磁気分離において,磁気分離モジュールを直列に接続することで,分離対象物質を磁場中に長く滞留させることで分離率を向上できることを実験により確認した。また,球型フィルタの充填率に最適値があることを示した。
3C-p02:三島(福井工大)らは常磁性粒子を2T程度の磁場で磁気分離をするために,三角柱型強磁性細線を充填したフィルターユニットを提案した。バーミキュライト粒子を用いた分離実験の結果,100 ppmで92%の分離率を達成した。更に,スペーサを用いて磁場領域を分散する方法を提案し,100 ppmで98%の分離率を達成した。
3C-p03:奥野(福井工大)らは原子力発電所の冷却管で発生する放射性クラッドについて,現行の処理方法では処理時間や管理が煩雑であるという問題に対して,強磁性吸着剤を用いたCo-60の磁気分離法について検討した。
3C-p04:野村(福井工大)らは介護施設等で出る使用済み紙オムツの処理について,それに含まれる吸水性ポリマーがマイクロプラスチックとなって含まれる問題について,マグネタイトにより磁気シーディングして磁気分離する手法を提案した。


12月11日(木)
D会場

小型冷凍機 3C-a01-05 増山 新二

3D-a01: 黒川(東芝)は、4K-GM冷凍機の蓄冷材として (Ho0.8Er0.2)Sb合金を用いることでGd2O2Sと比較して4.2 Kで15%、さらに組成比の比率を混合することで19%高くなる計算結果を報告した。
3D-a02: 本橋(明星大)は、シュリーレン撮影法を用いて、パルス管冷凍機内のストレーナ部における整流効果の可視化を行った。ステンレス#150メッシュを3枚積層すると、整流の効果が現れることを報告した。
3D-a03: 平塚(住重)は、スターリングやパルス管冷凍機用リニア圧縮機のピストンに作用する流体力の影響を検討し、流体力によりピストンとシリンダ間の接触リスクが低減されていることを報告した。
3D-a04: 朱(同済大)は、三つの圧縮部と三つの膨張空間を持つステップ型パルス管冷凍機を等温モデルで解析した。パルス管は効率を考慮しシリーズに接続されている。
3D-a05: 高木(東芝ESS)は、ガス循環冷却システムの冷却能力向上を目指したエジェクタを10 Kで動作したときの性能を報告した。ガス流量が重要なパラメータの一つとなり、冷凍能力が1.4倍向上することを示した。


磁気冷凍 3C-a06-08 松本 宏一

「3D-a06:青木 学(日立)」
MgB2を用いた超伝導マグネットを適用した水素液化向け磁気冷凍機の実験について報告された。マグネットを1サイクル16秒で90°回転往復運動をさせた。磁性体は、HoAl2スタンプ粒子を用い、ベッド2本を用いたAMRサイクルを運転した。同様のシステムで永久磁石(0.74T)の磁場強度に対し、1.25Tまで磁場強度を上げることに成功し、AMR温度差は、6.2Kから8.6Kまで向上することを確認した。冷凍能力は1.3倍程度増加した。今後、回転型への発展が期待された。
「3D-a07:平野 直樹(NIFS)」
本研究は磁気冷凍に必要な磁場変化を生成する方法として、磁気遮蔽体を出し入れするシステムの実現可能性を研究している第3回の発表であった。YBCOバルク体の磁気遮蔽効果を報告してきたが、これまで、バルク体を用いて検討を行ってきた。本発表では、超伝導線材の積層体に対し0Kまでの磁気遮蔽能力を解析した。超伝導線材積層体では、体積当たりの磁気遮蔽効果はバルク体に比べ積層体の方が高いことが確認された。
「3D-a08:脇 耕一郎(鉄道総研」
静止型磁気冷凍における磁気作業物質への磁場変化を超電導コイルとコンデンサとを組み合わせた共振回路の通電電流の変動によって与えられるシステムの研究の第4回の発表であった。繰り返し運転の結果が示され、前回発表から減衰の時定数が伸びた。


超低温冷凍機 3C-p01-03 島崎 毅

3D-p01:戸田(東大)らは、サブmKを連続的に生成できる連続型断熱消磁冷凍機(cNDR)向けに、熱収縮率を考慮して選定した樹脂で作ったリングを組み合わせた、磁気作業物質を固定するための断熱支持機構を開発した。磁気作業物質への熱流入量を従来の12 nWよりも一桁程小さい1 nWに低減させ、cNDRの冷却性能を向上させた。樹脂リングの熱収縮を考慮した寸法公差管理の難しさについて質問があり、今のところ上手く管理できているとの回答であった。3D-p02:戸田(東大)らは、抵抗温度計が計測対象の温度に追随するのが難しくなり始める、30 mK以下の温度域でも正確な温度計測が可能な磁気温度計(dMAT)を試作し、市販の校正済み温度計や、超伝導参照物質、白金NMR温度計と比較し特性を調べた。50 mKから4 mKの範囲で温度計として良好な特性を持つことを示した。3D-p03:野末(アルバッククライオ)らは、量子コンピュータの大規模化に対応するため、冷却能力として45 mW @ 20 mK、1500 mW @ 100 mKの目標を掲げ、希釈冷凍機の開発を行った。粘性発熱等の散逸を取り入れたシミュレーションモデルを構築し、熱交換器の性能向上、循環量増大、循環ガス中3Heの高濃度化、Still排気ラインのコンダクタンス低減など冷凍能力向上のための具体的指針を得て開発を進めた。20 mKでの冷却能力は目標を達成した。100 mKでは目標を下回ったが、Still排気ラインのコンダクタンスを向上すべきであるとの指針は得ている。



12月11日(木)
P会場 ポスターセッションII

加速器 (2) 3P-p01-05 座長 柳 長門

「加速器 (2)」のセッションにおいて、以下の5件の発表があった。

3P-p01 金子 和宏(上智大):「SuperKEKB四極磁石のための平角Nb3Sn導体の機械特性の測定と構造解析 ―2次元構造解析のための室温での導体スタックの横圧縮試験―」
SuperKEKB加速器において陽電子リングの最終集束四極電磁石(QC1P)を衝突点領域に100 mm近づけるためのコイル電流密度倍増計画において、平角Nb3Sn導体の横圧縮試験を行うべく、CuNiダミー線材の応力-ひずみ曲線を取得した。

3P-p02 星野 壮太(上智大):「SuperKEKB超伝導四極電磁石用の平形Nb3Sn導体の磁化特性と磁場性能への影響:  磁化測定による磁化の時間依存性とフィラメント実効径の評価」
SuperKEKBにおけるQC1PへのNb3Sn線材適用において長時間の磁場変化の正確な解析を行うため、試料振動磁束計を用いて平角Nb3Sn導体ショートサンプルの磁化を測定し、フィラメントの実効径を評価したところ、従来の報告と良い一致を確認した。

3P-p03 満田 史織 (KEK):「KEK PFにおける次世代光源適用を目指すNb3Sn超伝導マルチポールウィグラー開発」
KEKにおいて次世代放射光源への適用を目指すNb3Sn超伝導マルチポールウィグラーの開発において、基本コイルユニット2台の試作を完了し、1号機において300 Aまでの励磁試験に成功した。

3P-p04 齊藤 寛峻(KEK):「次世代光源用Nb3Sn超伝導マルチポールウィグラー含浸材の放射線耐性評価」
KEKにおけるNb3Sn超伝導マルチポールウィグラーの開発では延性・破壊靭性に優れる国産エポキシ樹脂を候補材料として、KEKの放射光加速器を用いて累積線量1 MGyまでの照射試験を行い、FT-IR分光によって樹脂劣化に関する評価を行った。

3P-p05 南前 俊介(岡山大):「スケルトン・サイクロトロンの1/2 スケール実証用無絶縁REBCOコイルシステムにおけるクエンチ発生時の機械的挙動評価」
高温超電導スケルトン・サイクロトロン加速器1/2スケール実証モデルの無絶縁REBCOコイル実験で観測され、コイルの変形・焼損に至ったクエンチ現象について、機械的挙動に関する数値解析を行い、巻線間横断抵抗をパラメターとして実験で観測された電圧信号との比較を行った。


MgB2 (2) 1P-p06-07 座長 児玉 一宗

3P-p06:藤井 (NIMS) は、Ex-situ法MgB2線材におけるTe添加と焼結雰囲気(Ar/H2)の影響について報告した。無添加の場合にはH2雰囲気下の焼結によりMgB2のa軸長の伸長とTcの向上がみられ、この効果はTe添加時には認められず、さらに、Te添加時は焼結を高温化すると一般的な傾向に反して焼結性が悪化するとのことであった。結果として、H2雰囲気下の熱処理により550oCの焼結温度でも十分に焼結が進行するため、シースに合うアルミニウムを適用して軽量化を図れる可能性があるとのことであった。



冷却コンポーネント 1P-p08-10 座長 夏目 恭平

 本セッションでは3件の発表があった。「3P-p08:増山氏(大島商船高専)」2段GM冷凍機のコールドヘッドの機械振動測定に関する報告。機械振動を小さくするためには、圧縮機の行程圧力差を小さくすることが良いが、冷凍能力低下との兼ね合いであり、これらの両立には動作周波数と吐出能力を含めた最適な圧縮機の仕様が必要となる。「3P-09:堤氏(金沢大学)」磁気冷凍用磁性体多結晶HoB2の磁場中熱膨張、磁歪の測定結果についての発表。これまで測定された他のRT2系磁気冷凍材料(R = 希土類、T = Al, Ni)の磁歪と比較して、HoB2の低温(2-50 K)での磁歪は小さく、水素液化用の磁気冷凍材料として適していることがわかった。「3P-p09:山田氏(高エネ研)」極低温向けの超低熱膨張合金IC-DXの熱・機械特性評価についての発表。IC-DXはFe-Co-Cr系の合金で、極低温下でもマルテンサイト変態をせず、室温から4Kへの熱収縮量が0.01~0.02%程度であり、耐食性も持つ。8 Kでのシャルピー衝撃試験により低温脆性を示さないこと、4 Kでの引っ張り試験により構造材としての応用が期待できること、熱伝導率測定によりSUS316L程度の低い熱伝導率を持つことがわかった。IC-DXを用いることで冷却による位置変化が極めて小さい極低温装置の実現が可能となる。



冷却システム 1P-p11-12 座長 仲井 浩孝

ポスター発表「冷却システム」での発表は2件であった。「3P-p11:塩﨑(岡山大)」らは電気自動車用の大容量非接触給電システム (Wireless Power Transmission) として、送電側(地上側)にGM冷凍機で冷却する高温超電導コイルを用いることを提案している。製作した伝導冷却装置の冷却特性試験を行い、GM冷凍機の第2ステージと高温超電導コイル伝導冷却板との間に温度差が生じていることや、高温超電導コイルを発泡ポリエチレン製スペーサーと共巻きした場合と冷却効率向上を目指して平編銅線と共巻きした場合の交流損失を測定し、平編銅線の場合でも交流損失への影響が小さいことを確認した。
「3P-p12:イワノフ(中部大)」らは、超電導システムにおける熱損失を軽減する方法として導入されているペルチェ電流リード (Peltier Current Lead) を超電導機器の冷却に用いている冷媒(液化窒素)の蒸発ガスによって冷却し、外部からの熱侵入を軽減しようと試みている。このガス冷却ペルチェ電流リードの性能は、冷却ガスと銅パイプとの熱交換効率に依存するため、銅パイプ内にコイルを挿入するなどして熱交換面積を大きくしようとしている。銅パイプの細さや純度の問題があり、改良を進める予定である。


超電導回転機 1P-p13-16 座長 佐々 滉太

3P-p13:大久保(東大)らは、回転磁界中のMgB2コイルの交流損失測定装置の改良結果について報告した。従来の構成では装置に発生する渦電流損失が大きく、試料コイルの交流損失の測定精度に課題があったが、試料コイルを伝導冷却するための銅線を電気的に絶縁することで渦電流損失が抑制されることを解析および実験により確認した。
3P-p14:佐藤(九大)らは、REBCO超伝導誘導機において二重長方形コイル電機子を提案した。当該構造がエアギャップの縮小や、エアギャップ磁束密度の高調波成分低減に効果的であることを解析により確認した。今後、試作および評価試験を通して当該構造の有効性を実証する。
3P-p15:小西(九大)らは、全超伝導同期電動機用のREBCO鞍型界磁コイルにおいて、モータの小型化や出力向上に寄与するようなコイルエンド形状の検討結果について報告した。コイルエンド部を短くすることでコイル直線部を長くでき、トルク向上に効果的であることを解析により確認した。また、SUSテープによる試作で製作性を確認した。
3P-p16:木村(九大)らは、同期モータ向けのREBCO転位並列導体で構成した電機子コイルにおいて、界磁による循環電流を抑制する転位手法を提案し、解析によりその有効性を確認した。実験ではハンドリングの問題で想定のコイル構成が実現できなかったために解析に比べて大きな循環電流が確認された。今後、より精密なコイル構成を実現し再度検証を行う。


高温超電導集合導体 1P-p17-20 座長 三浦 峻

本セッションでは、4件のポスター発表があり、発表時間中はいずれのポスターにもほとんど途切れなく人が集まり、活発な議論が行われていた。3P-p17:玉利(鹿児島大)らは、液体窒素侵漬冷却下の1枚および2枚積層REBCO線材の交流通電時の熱暴走について実験的に検討した。計算された熱暴走電流と実験で熱暴走に至った電流は概ね一致した。例えば、サンプルT-191-20の場合、計算値218 Aに対し、実験値242 A(サンプルのIcは191 A)。4つの異なる臨界電流を持つサンプルの実験結果では、異なる電流-損失性電圧のリサージュ曲線が観測されており、興味深い結果であった。熱暴走する際の線材の中の電流分布、また各サンプルのリサージュ曲線の再現性について、質問があった。再現性については今後実験により確かめるとのことであった。3P-p18:鈴木(関学)、3P-p19:山本(関学)、3P-p20:岡部(関学)らは、高温超電導スパイラル集合導体の圧縮特性、また線材バットジョイントの冷却安定性および機械特性を評価した。圧縮特性評価においては、常温で圧縮した後に液体窒素中で圧縮のない状態で通電試験を行い、臨界電流を評価した。実際に想定される運用では、スパイラル集合導体に遠心力が印加された状態で通電されるため、今後は液体窒素中で圧縮された状態での通電試験を考えているとのことだった。本セッションにおけるいずれの発表も超電導応用に意義のある研究テーマであり、今後の進捗が期待される。



交流損失 (1) 1P-p21-24 座長 井上 昌睦

3P-p21:丸山(鹿児島大)らは、ピックアップコイルを用いた電流分布測定におけるコイルの巻線形状の影響について検証するため実際に矩形断面のみでなく三角断面も有するピックアップコイルを作製し、比較検討を行った。その結果、確かに巻線の乱れに伴い測定精度が悪化することが示された。
3P-p22:新藤(鹿児島大)らは、ピックアップコイルを用いた交流損失測定における外部磁界印加用マグネット内の磁場分布対称性の影響について実機による検証と改善について報告した。7つのコイルから成る磁場印加用マグネットの対称性を補正コイルの追加とスペーサによるコイル位置調整により改善させられたとのことである。
3P-p23:姫野(九大)らは、レーザースクライブ加工を施したREBCO線材の交流損失特性について報告した。スクライビングによる交流損失低減は短尺線材では確認されている。スクライビング線材の構成として今回、銅メッキ付きのREBCO線材をレーザーアブレーションした後に、電着ポリイミドによる被覆を施しているのが特徴で、これによりヒートサイクル試験にて良好な結果が得られたとのことである。
3P-p24:南波(岐阜高専)らは、静止型磁気冷凍機に用いるコイルの最適寸法を求めるとともに巻線内で発生する交流損失分布の数値シミュレーションを行った結果について報告した。今後は実機による交流損失評価へと進めていく予定とのことである。