K-Ba122多結晶体作製プロセスにおけるJc増加および劣化要因

Processing factors for Jc increment and degradation in K-Ba122 polycrystalline bulks, wires and tapes


亀谷 文健, LIMON Shah Alam, JANI Md Rafsun, SU Yi-Feng, MAO Sam, TARANTINI Chiara, HELLSTROM Eric (Florida 州立大)


Abstract:K-Ba122多結晶体のJcは、内在する粒界間の接続性によって決定されるが、GBの接続性を低下させるExtrinsicの電流制限因子(Current Limiting Factor: CLF)を完全に除外したK-122多結晶体は現在至るまで報告されていない。K-Ba122におけるExtrinsic CLFは、主にGB上のナノクラックやBa-Oのような絶縁性の第二相、FeAsのような金属相であるが、Jcとの相関を扱う際、結晶粒の配向度や試料密度などの他の微細組織的要因によって、これらのCLFの影響はしばしば低く見積もられる。高純度の元素原料を用い、高性能グローブボックスで準備されたバルク試料のJcは、合成プロセスによって性能に強い変動が生じる。熱等静圧成形(HIP)による焼成にもかかわらず、低Jcのバルク試料はより多くのGBナノクラックが形成されることがわかった。また、クリーンな合成環境下でも、低Jc試料では酸素原子(酸化物ではない)がGBにより多く偏析する傾向があることがわかった。さらに、同様に高いJcを持つ2つのK-122テープの結晶粒とGBのナノ構造を調べたところ、シースおよび熱処理環境によって、クリーンなGBの割合や結晶粒配向度が大きく異なり、高Jc要因となる連続した電流経路の形成が大きく異なることがわかった。この発表では、Jcの大きく異なる試料の包括的なナノ構造観察に基づき、異なる種類のExtrinsic CLFと、それらがいつ、どの製造段階で現れる可能性があり、それらをどのように軽減するかについて議論する。