ITER-TFコイル用Nb3Sn素線のIc値における熱処理擾乱の影響

Influence of heat treatment disturbance on Ic for ITER TF Nb3Sn strand


梶谷 秀樹, 中本 美緒, 葛西 裕磨, 川崎 勉, 宇野 康弘, 松井 邦浩, 小泉 徳潔 (量研機構)


Abstract:ITER TFコイルのダブルパンケーキ(DP)熱処理では、素線サンプルをDP近傍に設置し、同時熱処理した後、その素線サンプルの臨界電流値(Ic)を測定することで、熱処理の健全性を確認している。これまでに、43体のDP熱処理を完了しており、その全てにおいて、熱処理が健全であることを確認している。一方、熱処理中に停電等によって操炉が停止すると、導体性能が劣化するリスクがある。特に、内部拡散法のNb3Sn素線では、このような温度擾乱が発生すると、その性能が劣化すると考えられているため、停電時用の予備電源を備えている。しかし、このような対策を実施しても、何かしらの温度擾乱が発生すれば、導体性能が劣化する可能性があるため、リスクは残る。そこで、本研究では、ITER TF 素線を用いて、様々な温度擾乱を模擬して熱処理した素線サンプルのIc試験を実施し、その影響を調査したので、報告する。