磁気顕微法によるBa(Fe,Co)2As2薄膜の局所臨界電流密度評価

Characterization of Local Critical Current Density in Ba(Fe,Co)2As2 Film by Magnetic Microscopy


細谷 築, 東川 甲平, 井上 昌睦, 木須 隆暢 (九大); IIDA Kazumasa, GRINENKO Vadim (IFW Dresden); HOLZAPFEL Bernhard (Karlsruhe Institute of Technology)


Abstract:鉄系超伝導体は、臨界温度が比較的高く、磁界特性にも優れることから、精力的に材料開発が進められている。また、その材料のポテンシャルを把握する上では薄膜という形態が適している。一方、薄膜の臨界電流密度は、一般的に四端子法や磁化法によって評価されるが、空間均一性が担保されていない状況では正確にポテンシャルを把握することができない。そこで本研究では、Ba(Fe,Co)2As2薄膜を対象として、磁気顕微法により局所臨界電流密度分布の評価を行った。その結果、試料全体としては均一とは言えないものの、5 mm角程度の均一な領域を見つけ、そのJ値は4 Kゼロ磁界条件で10 MA/cm2にも達することが明らかとなった。これは、四端子法によって得られている値の数倍であり、空間均一性の把握が、材料のポテンシャルの解明と作製プロセスの最適化に不可欠となることが示された。

 本研究は、JST国際科学技術共同研究推進事業 戦略的国際共同研究推進プログラム(研究領域:超伝導)「SUPER-IRON: 鉄系超伝導体における材料ポテンシャルの開拓」の一環として行ったものである。