鉄オキシニクタイド多結晶バルク体の微細組織と粒間臨界電流特性

Microstructure and inter-granular critical current properties of polycrystalline iron-oxypnictide bulks


山本 明保 (東大); JIANG Jianyi, 亀谷 文健, POLYANSKII Anatolii, WEISS Jeremy, HELLSTROM Eric, LARBALESTIER David (NHMFL); MARTINELLI Alberto, PALENZONA Andrea, TROPEANO Matteo, PUTTI Marina (Genova 大)


Abstract:鉄ニクタイド系超伝導体は、ZrCuSiAs型(1111系)の層状オキシニクタイドで最高55 Kの高い超伝導転移温度を有し、低温で非常に高い上部臨界磁場と粒内臨界電流密度を示す[1,2]。一方で1111系鉄オキシニクタイドは4または5元系からなる化学的、材料科学的に複雑な物質であり、現在までに報告されている多結晶体試料はいずれも不純物相を含み単相試料の合成は容易ではない[3]。このような不純物相の存在、および結晶粒界における粒間弱結合は、多結晶体における粒間臨界電流密度が粒内臨界電流密度と比較して2,3桁低い原因となっていると考えられる。本研究ではSmFeAs(O,F)について、焼結処理、等方加圧熱処理を施すことにより不純物の少ない緻密な多結晶バルク体試料を作製し、これらの処理が微細組織と臨界電流特性に及ぼす影響について調べた。


[1] 山本明保, アレクサンダー・グレビッチ, デビッド・ラバレスティエ, 下山淳一, 岸尾光二, 応用物理 79, 48-53 (2010).

[2] 山本明保, Anatolii Polyanskii, Jianyi Jiang, 亀谷文健, Chiara Tarantini, Frank Hunte, Jan Jaroszynski, Luis Balicas, Eric Hellstrom, Alexander Gurevich, and David Larbalestier, 第79回2008年度秋季低温工学・超電導学会 講演概要集p.57.

[3] 亀谷文健, 山本明保, A. A. Polyanskii, D. Abraimov, P. Li, and D. C. Larbalestier, 日本金属学会誌 74, 444-452 (2010).