Mg金属管を用いた外部拡散法MgB2線材の組織と超伝導特性

Superconducting properties and structures of MgB2 wires prepared by external diffusion process using Mg tube


金澤 昌哉, 大野 高弘, 小笠原 典宏, 山田 豊, 太刀川 恭治 (東海大); 熊倉 浩明, 松本 明善 (NIMS )


Abstract:Mg金属管を用いた外部拡散法によりMgB2線材を作製し、その組織と超伝導特性との関係について調査した。外径/内径:12/6 mmφの純鉄管に外径/内径:6.0/3.5〜4.0 mmφのMg金属管を挿入後、5mass%のSiC粉末を添加したアモルファスB粉末を充填し、冷間で線引きして直径1.0〜0.6 mmφの丸線材を作製した。先の研究では、初期の冷間加工時に溝ロールを使用したが、本研究では全てダイスを用いた引き抜きにより加工を行った。これは、純鉄/Mg/B粉末複合管の溝ロール加工では、Mg金属の厚さが一様にならず(四隅のMgが厚くなる)、熱処理時に未反応のMgが残留することが多かったためである。
本報により作製した直径0.8 mmφのMgB2線材の4.2 Kにおける臨界電流(Ic)の磁場依存性によれば、10 TでIc=21 A、MgB2コアの断面積で換算した臨界電流密度(Jc)はJc=420 A/mm2、5 TではIc=187 A、Jc=3700A/mm2の高い値が得られた。これは、従来のPIT法とは異なり、外部拡散法により空孔のほとんどない緻密なMgB2コアが得られたためと考えられる。