J-PARCニュートリノビームライン用超伝導電磁石システム (22) - 磁石システムの運転状況 -

Superconducting magnet system for the J-PARC neutrino experiments (22) - Operation Status of the Magnet System -


中本 建志, 槇田 康博, 佐々木 憲一, 荻津 透, 木村 誠宏, 岡村 崇弘, 荒岡 修, 飯田 真久, 大畠 洋克, 鈴木 祥仁 (KEK)


Abstract:大強度陽子加速器J-PARCで発生させたニュートリノを約300km離れたスーパーカミオカンデ検出器に打ち込む、長基線ニュートリノ振動実験(T2K実験)が始まった。
主加速器(MR)から取り出した陽子ビームを約90度曲げてニュートリノ生成ターゲットに導く約150mのビームラインには、超伝導磁石システムが導入されている。
主磁石として、2.6Tの2極磁場と19T/mの4極磁場を同時に発生する複合磁場型超伝導磁石が、加速器ビームライン用として世界で初めて実用化に成功し、合計28台が設置、運転されている。
磁石システムは、主磁石の他にビーム軌道補正用超伝導磁石3台、クライオスタット、超臨界ヘリウム冷凍機、ヘリウム輸送配管等から構成されている。
磁石システムは予定通り2009年3月までに完成し、その後のビームコミッショニングを経て、2010年1月から物理実験運転が開始された。
現時点で主磁石システムは順調に運転されているが、その一方で、補正用超伝導磁石が設計値以下でクエンチする問題があり、現在原因究明と今後の対策を検討している。
本発表では、ニュートリノビームライン超伝導磁石システム全体について、トラブルシューティングも含めた運転報告を行う。