A1-18
ギフォード・マクマホン冷凍機、スターリング冷凍機などでの20K以下における冷凍効率は蓄冷材の性能に大きく依存するため、体積比熱の大きい蓄冷材の開発が不可欠である。この温度領域では格子比熱が急激に減少するため、磁気的な相転移によって生じる磁気比熱を利用した磁性蓄冷材が有効となる。我々の研究グループでは、磁性蓄冷材Er-Ru系合金、Er-Ag系合金などを開発した。これらの蓄冷材においては、磁気モーメントを有する元素としてJ値が大きい重希土類金属Erが用いられている。今回の発表では、J値が小さい軽希土類金属Ce,Prを用いたCe1-XPrXAgにおいて5-10Kで大きい磁気比熱を有することを示し、多層構造の蓄冷器の低温端用の蓄冷材に有効であることを報告する。また、磁気比熱に直接に影響を与える因子としては、J値ではなく、4f準位の基底準位の縮退度であることを磁気エントロピーを見積もることにより示す。