B1-17
大型ヘリカル装置の内側垂直磁場コイル(IVコイル)の単体冷却励磁実験(EXSIV)において、高速通電時及び電流遮断時の交流損失を測定した。IVコイルは、NbTi/Cu素線のケーブルコンジット導体(CICC)を用いた強制冷却型の大型超伝導コイルである。測定された結合損失から計算される結合時定数は、電流遮断時が約150mSと短尺導体での測定結果に一致するのに対し、高速通電時は200〜350mSとなり、低周波側で増大した。結合損失の周波数依存性のデータより、損失増大の原因は、120秒の非常に長い時定数の結合電流成分があるためと分かった。この長時定数の結合電流は、CICCの通常の撚線間の結合電流では説明できず、導体の撚り乱れ等による導体内の電流分布の不均一に起因していると推定される。本現象は、交流損失の低減を目指すCICCコイルにとって解明すべき重要な課題であると考えられ、発表の(1)でEXSIV実験結果について説明すると共に、(2)でモデルによる解析及び要素実験の結果について報告する。