B1-22
高エネルギー物理学研究所で建設が進められている B ファクトリーでは、電子と陽電子のビームのバンチは正面衝突ではなく、± 11 m rad ( 約± 0.7 度 ) の有限の角度で衝突する。有限角度の衝突では、粒子のバンチの衝突時にバンチの前後でバンチの重なりが不完全になり、正面衝突の時には問題にならなかった、相手のバンチから受ける電気的な力が異なることによりビームが不安定になり、その結果、ビームが広がり、ルミノシテイが減少する。そこで、衝突点に向かう電子および陽電子のバンチをクラブ空洞と呼ばれる特殊な形状をしたNb 製の超伝導高周波空洞 ( 508MHz ) 内の時間的に変化する磁場で電子と陽電子のバンチをキックさせて傾けて、正面衝突させる。超伝導 Crab 空洞は衝突点の前後に各2台合計4台必要となります。現在、1999 年に加速リングに設置を目標に開発が進められている。超伝導 Crab 空洞の概要と開発の現状を報告する。