概要 D1-9
我々は従来より極低温における摩擦係数測定法の確立と摩擦発熱の定量的把握を目指して、実験的及び理論的に検討している。今回は、摩擦発熱の定量的把握の実験に関して三種類の測定を行なった。実験装置は、液体ヘリウム中でCuとSUS316を接触させ、Cuを固定した状態でSUS316を動かして、両者間に摩擦発熱を生じさせるものである。摩擦発熱は、(1)摩擦力とSUS316の移動量を測定して仕事量を算出、(2)液体ヘリウムの減少量を液面計で測定してデュワー断面積やヘリウム物性値に基づいて摩擦発熱を算出、(3)ガスヘリウムの蒸発量をガス流量計で測定してヘリウム物性値に基づいて摩擦発熱を算出、の三種類によって評価した。発表では上記三種類の測定結果を報告し、測定データの差異や精度などの検討を行う。なお本研究の一部は、通商産業省工業技術院から(財)大阪科学技術センター付属ニューマテリアルセンターが受託の「平成8年度石油代替電源用新素材の試験・評価方法の標準化に関する調査研究」における活動の一環として実施されたものである。