A15型化合物の主な磁束ピンニング中心は結晶粒界であるが,最近,我々は、交流用に開発した改良型複合加工法V3Siテープ線材において,超伝導(S)-常伝導(N)界面も実用レベルで重要なピンニング中心になり得ることを,Jcの磁場方位依存性を詳細に調べることにより明らかにした。本研究では,Nb3Sn(複合加工法),Nb3Al(変態析出処理及び通常の低温熱処理によるチューブ法),またV3Ga(複合加工法及び表面拡散法)テープ線材についてもそのピンニング力の磁界方位依存性を測定し,これらのA15型化合物においてもSN界面の寄与が無視できないことを明らかにする。これまでにNb3SnとV3Gaでも結晶粒界ピンニングに加えてSN界面ピンニングによると考えられる2種類のJcの極大がその角度依存性において観察されている。 特にV3Gaの場合には,SN界面ピンニングに対応するJcの極大ピークがきわめて狭い角度範囲(+-5度)でのみ現れる。しかも,この範囲内では1回目に比べて2回目のIcの値が数アンペアも高くなる特異現象が観察された。