概要 D1-8
 水素貯槽用候補材料である、オーステナイト系ステンレス鋼(SUS304、304L、316、316L、310S、JJ1)の低温(液化窒素温度まで)における高圧水素中における水素環境脆化に及ぼす温度及び熱処理の影響を検討し、水素脆化と歪み誘起マルテンサイトとの関係を議論した。その結果、水素環境脆化は安定オーステナイト系ステンレス鋼においては殆ど生じないが、歪み誘起マルテンサイトを生じる準安定オーステナイト系ステンレス鋼では著しく生じた。水素環境脆化は温度に依存し、220K付近が最も脆化が大きくピークを示し、77K付近では脆化は小さくなった。水素環境脆化は鋭敏化処理によって大きくなるが、それを安定化処理をすると脆化は改善された。これらの挙動を透過電子顕微鏡にて観察し、脆化とマルテンサイトの関係を議論した。 なお、この研究は工業技術院WE−NETプログラムにおいて実施されたものである。