概要 A3-1
○はじめに 浮上式鉄道用超電導磁石は、その冷却に液体ヘリウムと液体窒素を使用している。これまでの開発において液体ヘリウムの無補給化は4K車載冷凍機により実現しているが、熱シールド板を冷却する液体窒素のGM冷凍機による無補給化が課題である。この冷媒無補給冷凍システムを実現するため、小型、軽量の4K/80Kマルチ運転方式のGM冷凍機と、安定した冷却が得られる窒素自然循環方式の熱シールド板とを組合せた冷凍システムの開発を行い、前回報告した要素評価に引き続き組合せ試験を実施したので、今回その冷却特性について報告する。

○4K/80Kマルチ運転組合せ試験評価 負荷入熱は熱シールド板モックアップと凝縮部液体窒素溜に組み込んだヒータにより等価的に与えた。(1)冷凍能力確認 単独のマルチ運転試験結果通りの冷凍能力が確認され、組合せによる問題はなく実機への適用が可能であると考えられる。(2)80K冷凍機過負荷(150%)試験 80K冷凍能力が冷凍負荷に対し不足する場合を想定し、定常入熱に対し150%のヒータ入熱した。マルチ冷凍系のバランスは崩れず、窒素系も保圧弁圧力に応じた温度で安定してバランスできた。この結果から、過負荷の場合の対応としては、保圧弁を適切な値に設定することにより、冷凍機系のバランスを崩すことなく内圧上昇およびシールド板温度上昇を抑制することが可能と考えられる。(3)80K冷凍機過冷却試験 80K冷凍能力が冷凍負荷に対し余裕がある場合を想定し、ヒータ入力を低減した。窒素系の内圧低下に応じて熱シールド板は全体が均一に温度下降し、放置しておくと内圧は負圧になった。負圧時の外気吸い込み対策として80K冷凍能力の制御が必要なことが判明した。

○まとめ 組み合わせ試験の結果から、組み合わせによる冷凍能力の低下等の基本的な問題はなく、実機への適用が可能と考えられる。