概要 C2-1
銀シースBi2223超伝導テープは、工業応用が最も期待されている材料の一つであり、臨界電流密度Jc向上にむけた多くの研究が行われている。 Jcの支配因子を理解するためには、試料内部における電流分布を明らかにすることが重要である。本研究では走査型ホール素子を用いて銀シースBi2223超伝導単芯テープ表面での残留磁場分布を77K,0Tのもと測定し、得られた磁場分布から試料内部におけるJcの分布を議論する。試料内部に単純化された電流経路を仮定し、各電流経路に流れる電流値を補正パラメータとして取り扱うことによって実験結果を最もよく再現する各電流値を最小二乗近似を用いて求めた。得られた電流値と超伝導コアの断面積から、コア内部での試料幅方向におけるJcの分布を求めることができる。実験及び解析の結果、試料幅方向でのJcは試料の端部で最も高く、その値は試料中心部でのJcの約2倍であり、4端子法で得られた値よりも大きいことが分かった。この様な、試料内部でのJcの分布はコア内部の微細構造の違いを反映してるものと考えられる。