(214)系酸化物超伝導体(T相、T'相、T*相)の熱伝導率

 YBCOやBi2223の酸化物超伝導体の熱伝導率kは、超伝導転移温度(Tc)以下で特>徴的な熱伝導率の増大を示すが、(214)系酸化物超伝導体(T-phase, T'-phase)の場合には、良質単結晶においてもこのような特徴的な熱伝導率の増大は顕著には見られていない。今回我々は、作製条件の最適化によりT-phase, T'-phase, T*-phaseの充填率が80>%以上の単相試料を作製し、その熱伝導率を比較検討した。頂点酸素を持たないT'-phase>(Nd2-xCexCuO4)のkの絶対値は、頂点酸素を2個>持つT-phase(La2-xBaxCuO4)と較べてかなり大きく>、温度依存性も著しく異なっている。また、頂点酸素を1個持つT*-phaseの(Nd1-x>-yCexSry)2CuO4 (x=0.0875,y>=0.2)の 熱伝導率はほぼ単調に減少し、Tc近傍でのkの変化は観測されなかった。(214)>系酸化物超伝導体の3つの相の熱伝導率特性の違う原因については、主に頂点酸素の有>無に起因したトンネルレベルに関係すると考えられ、これらの点について議論する。