Bi-2212単結晶試料のピーク効果

 Bi-2212単結晶超電導体において低温および c 軸方向の低磁界領域で臨界電流密度 Jc のピーク効果が観測されており、そのピーク効果が磁束線の2次元-3次元転移により起こっていると考えられている。しかし、ピーク磁界近傍における磁束線の縦方向弾性相関距離はピーク磁界より高磁界側の2次元と考えられている領域でさえ 1 μm より長く、磁束線が長さ方向に強く結合しているという報告がなされた。一方、Jc のピーク効果の原因として、ピーク磁界近傍においてピンニング効率の増加に関係したもっとミクロなスケールでの磁束線の disorder が存在すると考えられる。そこで本研究では 酸素をオーバードープした Bi-2212 単結晶試料についてピーク磁界近傍の磁束線の変位-復元力特性を Campbell 法を用いて測定を行い、その結果から Labusch パラメータと相互作用距離を求め、ピーク磁界近傍での磁束線の振る舞いについて検討を行う。