伝導冷却型4 T級Y系コイルの開発(1) -人工ピン入り線材を用いたコイルの通電特性-

Development of conduction-cooled 4 T-class coil wound with YBCO tapes (1) -Effects of artificial pinning centers on V-I characteristics of YBCO coil-


岩井 貞憲, 宮崎 寛史, 戸坂 泰造, 田崎 賢司, 花井 哲, 浦田 昌美, 井岡 茂, 石井 祐介 (東芝)


Abstract:イットリウム系超電導コイルの高磁場化を目的としたコイル開発を進めており,今回,中心磁場4 Tを発生可能な伝導冷却型のコイルを設計・試作した.
設計に当たりコイルの高磁場化には,高磁界での臨界電流特性が向上した人工ピン入り線材の適用が有効であるが,コイル化した際の人工ピンの効果を把握しておく必要がある.特に伝導冷却下で想定される低温領域(20 K〜)では,人工ピンの有無による差異が顕著となると予想される.
そこで,人工ピン入り線材を用いたコイルを試作し,伝導冷却下におけるコイル通電特性について,以前同諸元で製作した人工ピンが導入されていない線材によるコイルの通電特性との比較および評価を行った.コイル構成は,内径φ50 mm,外径φ90 mm,ターン数111のシングルパンケーキコイル4枚から成る4積層コイルであり,20 Kにおいてピン無しに比べ1.5倍のコイル中心磁場2.3 Tが得られた.