中性子回折によるRHQ-Nb3Al超伝導素線の残留歪み測定

Neutron differaction measurement of residual strain for RHQ-Nb3Al superconducting wires


金 新哲, 徐 慶金, 中本 建志, 荻津 透, 土屋 清澄, 山本 明 (KEK); 菊池 章弘, 竹内 孝夫 (NIMS ); HARJO Stefanus, 伊藤 崇芳, 辺見 努 (原子力機構); 小黒 英俊 (東北大)


Abstract:本研究では、マトリックス材料の種類や安定化銅の有無に違いがある7種類のRHQ-Nb3Al超伝導素線について、中性子回折法を用い、素線の焼成過程から常温まで冷やすときの熱収縮による結晶格子の残留歪み測定を行った。
実験は、J-PARC中性子ビームライン『匠』において実施した。
従来のNb3Sn素線に関する研究の一例では、軸方向に圧縮の残留歪みが約0.5%存在しており、この残留歪みを打ち消す様に引張り歪みが約0.5%印加された場合に臨界電流密度が最大になると報告されている。
一方、同じA15系のNb3Al素線については、これまで結晶格子歪みに関する研究はほとんど行われて来なかった。
このため、今回はまず、急熱急冷処理を行ったRHQ-Nb3Al超伝導線の常温の残留歪みに注目し、銅メッキとマトリックス(ニオブ、タンタル)の影響を調べた。
まず銅による影響については、これまでに報告されているNb3Snの残留歪みと比較すると、およそ1/10程度まで小さいことが判った。
またタンタルとニオブのマトリックスの違いによって、Nb3Al素線の残留歪みの方向が逆になっていることが判った。
本発表では、実験手法の説明や解析結果についても詳細を報告する。